チラシやポスター、ホームページに料理店のメニュー表など、多くの場所で「こだわり」というワードを見かけます。
職業病かもしれませんが、前後に何の文脈もなく、ただ「こだわり」と連発されていると、
「ああ、またか」残念な気持ちになってしまいます。
何かと便利なこのこだわりという言葉。
持論になりますが、この言葉自体にほとんど意味はないと考えています。
特に広告宣伝を目的とした媒体でこのキーワードを沢山見かけると、
明らかに素人のライター、またはデザイナーさんがついでに書いたコピーだろうな、
なんて考えちゃうことも。
というわけで今回の記事では、この「こだわり」という言葉への過信と、
だったら何をどうすればいいのかについての具体策を2つご紹介していきたいと思います。
こだわりを連発しているライターさん、特にご参考いただければ幸いです。
こだわりが持つ意味の無さを実証
早速実験していきましょう。
何も前情報、視覚情報がない状態で下記の2つを見たとき、
あなたはどちらに興味関心を持つでしょうか。
A:当店こだわりのハンバーグ
B:ソースのいらないハンバーグ
感覚的なものもあるかもしれませんが、多くの方がBに興味を持つのではないかと予想します。
ここでいいたいのは上手なコピーの書き方うんぬんではなく、
Aにある「当店こだわりのハンバーグ」からはまったくもって何もこだわりが伝わらないという点です。
ないよりはあったほうがいい?
では、下記の2つの場合ではどうでしょう?
A:当店こだわりのハンバーグ
C:ハンバーグ
不思議なもので、ハンバーグそれ単独よりは多少味に期待できそうな気がしてきます。
こだわりというキーワードに頼りすぎるのは問題ですが、
全く何もないよりはよいくらいで認識しておくといいかもしれませんね。
改めて、3つ羅列してみましょう。
A:当店こだわりのハンバーグ
B:ソースのいらないハンバーグ
C:ハンバーグ
一番目を引くのはどれでしょうか。
こだわりと言わずにこだわりを見せる2つの方法
こだわりと一生懸命伝えずとも、これから紹介する2つの方法を実践すれば簡単に伝えたいこだわりは伝わります。
その2つの方法とは、具体化と心地よい違和感の演出です。
方法1:こだわりの具体化
商品やサービスについて熟知しているお店側・企業側にとってこだわりの具体はごく当然のことかもしれません。
しかし、あなたのお店や会社のことを全然知らない人にそれは通用しません。
何を持ってこだわりと言っているのかをわかりやすく少しだけ具体的にしてあげるだけで、
わざわざこだわりと言わずともそのこだわりが伝わります。
例えばハンバーグを例に上げるなら、
■使っているお肉の産地・特徴
■ハンバーグの形状(大きさ、形など)
■味付けの工夫
■売価
■限定
■提供方法
■作り手
などにフォーカスしてあげるだけで簡単にこだわりが伝わります。
こだわり、と言う前に、「何が」こだわりなのかについて考えてみるといいでしょう。
方法2:心地よい違和感の演出
異彩という屋号をもってきているくらいですから、
ボクはこういう手法を得意としています。
ヨソとの違い、ひいていえばお店の強みや特徴に当たる部分といっていいでしょう。
異彩感が出ればなんでもいいというわけではありません。
なので、心地よい違和感と表現しています。
冒頭で比較材料として出した「ソースのいらないハンバーグ」はそれを狙って書いたものです。
通常、ハンバーグにはソースがつきものです。
が、「ソースのいらない」という部分でその予定調和を崩しています。
それにより
「ハンバーグにソースをかけない?」
「ソースがいらないならお肉自体に十分味付けしてるのかな?」
「ソース以外の調味料で食べるのかな」
といった疑問を投げかけることになります。
面白いもので人はわからないことがあるとそれを知りたいという知的欲求が掻き立てられます。
プレートがでてきたときに「ああ、こういうことだったんだね!」とわかるとスッキリすることでしょう。
味もよければSNSで投稿されること必至ですね。
まとめ
こだわりという言葉はとても便利な半面、使い方を誤ると途端になにも伝わらなくなる
アンチパワーフレーズと言えるでしょう。
こだわりこだわり連発しているライターさん、
ドキッとしたら今後は是非具体化、心地よい違和感の演出で対応されてみて下さい。
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